様々な分野における“超音波”の活用事例

「超音波」という言葉で、すぐに思い浮かぶものはなんでしょうか?生物であればイルカをはじめとしたクジラの仲間や、コウモリなどの夜行性の動物が使っています。 イルカとコウモリは住む世界がまったく違いますが、どちらも周辺環境を肉眼で確認するよりも、超音波、つまり音を使って確認した方が、効率が良いという共通点があります。

超音波は、人間が聞くことのできない範囲の音を指します。一時期話題になったモスキート音は、厳密に言うと「高周波音」ではありますが、加齢とともに聞き取れなくなるという事実からある意味、超音波の一種と言えるでしょう。

超音波を使った身近な製品とは?

超音波は指向性が強く、特定の一方向にのみ強く出力できます。そのため、様々なセンサに使われています。

身近なもので言えば、産婦人科におけるエコー検査です。人の体の中にいる胎児の様子が、細かい部分まで見ることができます。近年では高精細なエコー写真を撮影することもできるため、胎児の様子がまるで手に取るように分かります。

目に見えない部分の情報を知る、という意味では水中の探査に使われるソナーが代表的でしょう。漁業においてソナーは必需品ともいえます。どこに魚群がいるかだけではなく、どのくらいの量の魚がいるのかなどを探査できます。

ソナーには様々な種類があります。こちらはその一例です→2周波全周スキャニングソナーカタログ

他にも、水上からは見えない岩礁などの障害物を探索し、不自然に浅い部分を調査することで、時には行方不明者などを発見することもあります。

近年、実用化に向けて開発が進められている、自動車の自動運転にも超音波センサが活用されています。現在は「事故防止のための補助」としての意味合いが強い衝突防止用センサにも、超音波が使われています。超音波は自動車の動く速度よりも速く飛び、目標物に当たり、反射して戻ってきますから、その速度を計測することで進行方向上にある障害物の距離を計測することができます。

以上の3点が、超音波の利用例として代表的なものです。しかし超音波は探査など、情報を得るだけではなく、他にも様々な用途に用いられています。

探知以外にも使われる超音波

口腔ケア意識の高まりから、電動歯ブラシを使っている人が増えています。電動歯ブラシは、振動の速さの違いから「超音波歯ブラシ」というカテゴリに入る製品があります。超音波歯ブラシは、一般的な歯ブラシと同じように動かす必要がありますが、超音波が口内のプラーク(歯垢)の除去に効果的であると言われています。

他には、骨伝導音響機器も超音波を利用できるのではないかと期待されています。骨伝導音響機器は、骨を振動させて音を伝わらせます。不思議なことに、骨伝導であれば、本来はヒトが聞き取れないはずの超音波を聞き取ることが可能となります。また、聴覚そのものには問題がないものの、音を音として認識することが難しい感応性難聴の患者も音を聞くことができます。この現象を研究し、新型の補聴器の開発が期待されています。

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